
美容師界でカットの革命を起こしたヴィダルサスーン。
先日84歳で その生涯に幕を閉じました。

美容師へ向けてのいつものマガジンの数々も、一斉に彼への追悼を書き記しています。
今日は数少ない映画館でしか上映していないヴィダルサスーンのドキュメンタリー映画を観る為、渋谷の小さな映画館に行って来ました。

彼の活き活きとした姿が映し出され、
もう いない
と言うのが余りに偉大過ぎる人を世界は失ったんだと思いながら 惜しく、
そして、生きて既に伝説の様な人と 同じ時代を生きていた事にも不思議な感覚を覚えながら、彼の一生のスタイルに引き込まれて時間を過ごしました。
Vidal Sassoon
と聞いたら その名を知らない人は たとえ美容師でなくとも ほとんどいないのではないだろうか。
安室奈美恵の「NEW LOOK」のPVでもヴィダルとのコラボレーションで話題を呼びました。


このぱっつん前髪が安室ちゃんを人形の様に可愛く、そしてそれだけでシンプルに斬新さを突き付けて来ます。
とにかく私が美容師を目指している学生の頃は、外人の毛に施されたそのしなやかさに心を惹かれ、コレクションのスタイルを雑誌やファッション通信なるTVで観ては 興奮して夜もなかなか眠れない程だったのです。
夢をみせて貰っていたのです。

何度真似して ヴィダルサスーンっぽくカットしてみたことか。
アイディアが浮かばなければ、とにかく前髪を思いっきり斜めにカットすれば、まず間違いはない。
と思っているくらいです。
戦後著しく変化する社会に、自由な表現を爆発させたパイオニア。
賞賛する以外に言葉は出て来ません。
そして、映画を観ている間ずっと、私ははじめに育ててくれたモッズヘア時代の上司の方々の顔を思い浮かべては 感謝の気持ちが次々と湧いて来るのでした。
ヴィダルサスーンもスタッフの振る舞い、品のないサロンワークには とても厳しかったようです。
私の上司達も、立ち居振る舞い、服装、会話のトーン、サロンの物音、とにかく
ただそこにいるだけであってもブランド力を持つ 。
その為にどうするのか、厳しく、時に優しく、時に冷たく。。。年月掛けて、植え付けてくれました。
まだまだ学ぶ事は沢山あります。
しかし、揺らぐ事はないと確信出来る土台を そこで作り上げた事は間違いありません。
今は全く違った環境で、辛くどうしようもない気持ちの時があっても、私にあらゆる大切な風を吹き込んでもらったあの時代があるから、私はいつの時も また頑張れると思うのです。
そして遡って 美のラインを探求し続けたヴィダルサスーン、パイオニアたちを、生涯尊敬し続けるのだと、改めて思った日でした。
ヴィダルサスーン。
彼の技術はずっとこの先も世界に残り続けていくのでしょう。
ご冥福をお祈りします。