去る 9月25日、いつもの山仲間で、長野県は戸隠山へと、登山に参ったのでした☆
戸隠と言えば 戸隠神社は現在千葉にお住まいの私の長野出身のお客様方が口を揃えて
「あそこは いい所よー♡」
としみじみ語る場所。

フーーっと大きく溜め息を吐いてしまう どれ位前からそこに立って来たのだろう ドッシリとした杉の並木道。

日本はいいです!


しかし、皆さんが穏やかに話す戸隠神社とは移り変わって 戸隠山はというと。。。

戸隠神社奥社へと抜けて見えてきた山肌。
その殆どが鋭く切れ落ちた岩山です。
あらゆる戸隠山についてのブログなどを調べてみれば、出てくるのはほぼ危険な情報。。。
どれにも出てくるのが 最難関、
「蟻の塔渡(アリノトワタリ)」。
後程出てきます、右も左も落ちたら最期の断崖絶壁を渡るという、予想もしなかった情報ばかり。
そして、そこに達する迄に、沢山の岩をクサリを伝って登らなければいけないという。。。
その情報を目にして 私は即 リーダーに電話をし、状況確認をしたのです。
リーダーはこちら、長野県在住 猿さん。

超スタイリッシュなスノーボーダーです☆
山頂でマイジョッキに注ぐビールを飲む事が もう習慣?
マイジョッキを入れるために ひと周り大きめのバックパックを買い直したという、完全に山とお友達の山男。
猿さんは言いました。
「俺は。。。ヘルメット持っていくよ。」
!!!!!
ないし!
やっぱりそう?!そうなの!?
それからは当日まで、その事で頭が一杯です。
山岳保険を改めて確認。
行く前から怖いけど、行ってないのに辞めるのも違う気がする。。
母親に 万が一の時の保険の話をして
長野へ向かった訳です。
そんな前提でしたので、戸隠神社で出てくるあらゆる神様を祀る場所では、
それを眺めては心より、祈る気持ちで歩を奥まで進めるのでした。


さぁ、挑む、楽しむと決めて 登山届けに名を連ねます。

こんな看板。

怖がらせてるの?
って書き方の看板なのです。
いや、本当に危ないから本当の事を書いているのですね。。。
戸隠山の駐車場に皆で着いて、どの登山道をとるのか、という会議、色々な意見が出ましたがね、

アンパイをとる人間の集まりじゃないのはわかってました。。。
さぁ、いざ出陣、
噂通り、奥社を抜けるといっきなりめちゃくちゃ急ですよ!
ガンガン高度を上げます。
写真を撮りたいのは山々ですが、
山々なもので、まーったくその余裕がございません。
私の膝近くまである土の階段やら、木の根の階段をガツガツいきなり上がって行く。
前は猿さん、毎週山に登る男はペースがめちゃくちゃ速い!
そして私の後ろはスポーツインストラクターの女性が二人に tobizaruってメルアドに書いてある もう1人の猿もいる!
槍ヶ岳も行ったの?!
みんな何かが違う!
速い!!!
速いよーーーーーーーー!!!
と言う間に、すぐにクライミングの時が来ました。
では、岩登りの数々をどうぞ☆







しかしまぁ、写真って言うのは、伝わりませんね。
ぜんっぜん伝わってない。。
実際で見ると、こんなものじゃないのです。
だから私も行く前に色んな写真を見ても そこまでとは思わなかったんだわ。
完全に騙された。
あそこまでとは思わなかった!
これからこの壁を登るぞ!
って気合いを入れるすぐ横には
「○○さん、安らかに眠れ」
と言う木板が立っていたのです。
ここにこのメッセージと言う事は、道迷いなどの遭難ではない。。。
落ちたんだね。。。
気持ちが一気に恐怖へ落ちます。
こういう山での精神状態とは、ほんのちょっとした事で 揺らぎ、そしてその気持ちの乱れが 取り返しのつかない危険を生み出すのだと確信しました。
生まれて始めての感情、そして心の震えです。
この鎖から手を離せば、選択肢無く、
「死」。
それが登ってる間中 頭を駆け巡る。
「こんな所で死ねない!」
するとグッと足にチカラが入り、
一歩上へ上がれました。
「あーー、なんか後ろで怖いって声がするよ~ ふぇ~~ 怖いよ~~」
と思ってしまうと、鎖を持つ手のチカラが抜けてしまった!
「だめ!大切な人を悲しませられない!」
と思うと、鎖を引く腕にチカラが伝わり、グッとカラダを引き付けられた。
あまりの恐怖の連続に感情が追いつけずに 登ってる最中に涙が出て来た!
また腕からチカラが抜けるーーー
「絶対気を落とすな!」
グイグイーーーーーーーー!
といった感じ。
本当にこれの繰り返しでした。
人間、気持ちで幸、不幸を大きく分けるんだなと、ここまで身を持って感じたのは初めてです。
絶対気を落としてはいけないのです。
何度全く 脚が動かなくなったことか。
そうすると猿さんが
「もっと鎖を信じていいよ!」
ってガッチリ私を見張りながら言ってくれます。
心の揺らぎをぬぐい去り、自分を信じる事が命を護る事になる。
あーー こんな確実な気持ちがあるんだなーー
そんな事ばかり思っていました。
まっつんが下から押してくれます。
愛ちゃんが足を置く岩をアドバイスしてくれます。
裕くんが上から手を引っ張ってくれます。
沢山助けて貰ったぁ☆
あぁ。。
ありがとぉ。。すいません。。。
と。。。
来ました蟻の塔渡。

こんな登山があったのね。。
私の心は ここに来る迄の間に、山にのまれている状態。
先に蟻の塔渡を行くメンバーを見ながら、私の頭には、自分が断崖へ落ちて行くイメージが出て来てしまったのです。
だめだ。。。
この気持ちで行ったら 本当にそうなる。
私は迂回しようと決心しました。
悔しいなとは思いましたが、自然を甘く見てはいけない。
迂回も。。。怖かったし。。。
これは猿さんのGoPro映像☆
よくぞご無事で!
で、これから登って 私の様に迂回する方でも、最後には絶対逃れられない
プチっと蟻の塔渡がありますのでご心配なく。
少なくとも、必ずや体験しちゃう訳です。。。
あーーー
凄い山だ戸隠山☆
初めての気持ちをありがとう!
恐怖だけど。。。
登頂出来たのは嬉しかったです☆
そして、やはり自然は人間にはどうする事もできない、偉大なチカラがみなぎっていると、またこの身で確信しました。
山には木の根が力強く張り巡り、私たちへ 山を登る、下る階段となる役割を果たしてくれていました。
本当に、上手い事 太い木の根が、脚を掛けやすく山肌に張り巡らされているのです。
優しいなと思いました。
そして「もう岩は見たくない!」
って思ったのに、ズルズルに滑って滑落しそうな土の斜面では ガッツリ突き刺さって動かない岩があると、掴む場所があって安心なのです。
自然は全てが上手く出来ていました。
生きている様でした。
脱帽です。
下山は水が流れる沢を、落石を起こさない様に慎重に下り、


山の地表が濾す柔らかい清水を感じ、
ほぼ下へ降りた時には、誰も汚す事のない山の中で伸び伸び育った大きな木に見惚れていました。


大きい。
普段生活している間近の木々は、人間の都合で植えられたもので、背も気にも止めない位だったけど、
本当は こんなにも木の幹が太く、背が高いんだ。
人間は生かされていると思いました。
今回の登山は気持ちの極みに近いものがあり、思いの強い一日になりました。
全員が怪我なく無事に帰れた事を心から感謝して、そして無事に帰れたからこそ、宝物の思い出になりました☆